2016年6月8日水曜日

第2章 外部の磁場の中に入った時、陽子に何が起こるか

第2章では「外部の磁場の中に入った時、陽子に何が起こるか」について書いていきます。


陽子は小さな磁石であり、外部の磁場の中では地球の磁場の中でのコンパスの針のように、整列しています。(外部の磁場にさらされない環境では、あっちこっち、好きな方向を向いています。)

しかし、コンパスとは1つ大きな違いがあります。

コンパスの針は磁場の中で、一つの方向しか向きませんが、陽子は二つの方向を向いて並びます

普通は、陽子はでたらめに並んでいる。しかし、強い外部磁場にさらされた時には、この状況は変化し、外部磁場に平行か、逆平行かの二通りの並び方だけをするようになる。)

陽子は外部磁場の方向と並行して、南と北をそろえて並ぶか、あるいは磁場とは全く正反対の方向を向いて並ぶものがあります。

これらの並ぶ方向(アライメント)の違いは、異なったエネルギーレベルがあることから起こっています。
例えて言うと;人は地球の磁場に平行に並ぶことができますが(足で立って歩く状態)、反対方向を向いて並ぶこともできます(逆立ちして手で歩く状態です)。

(二通りの違った並び方ができる場合には、エネルギーが少なくてすむ状態(低いエネルギーレベルの状態)でいるようになる。)

両者は異なったエネルギーレベルにあることができ、異なったエネルギー量を必要としている状態にあるとも言えます。
足で立って歩くということは、逆立ちして手で歩くのに比べて、間違いなく疲れにくく、エネルギーを必要としません(プロトンの図では上向きの矢印、あるいは下向きの矢印で示してあります)。

このような状況では、エネルギーをより必要としない状態に並ぶようになるのが普通で、陽子も、多くのものは外部磁場と並行している(足で立って歩く状態)、エネルギーレベルの低い方向を向いて並びます。

しかし、それぞれの方向を向いているものの数は少ししか違わず、その差は磁場の強さに比例しています。

おおまかにいうと:逆立ちして手で歩く陽子が10,000,000あると、足で立って歩く陽子は10,000,007あるようになります(the difference "007" is probably easy to remember!)。

ここですでにお分かりかもしれませんが、MRIでは、この上を向いたり下を向いたりして動く陽子が重要な役割を持っているのです。

MRIの場合、実は、これらの陽子は被写体の体内にあるすべての水素原子の陽子の部分的な集合を考えています。

今回は、ここまでです。

今回覚えたことは、
  • 普通は、陽子はでたらめに並んでいる。しかし、強い外部磁場にさらされた時には、この状況は変化し、外部磁場に平行か、逆平行かの二通りの並び方だけをするようになる。
  • 二通りの違った並び方ができる場合には、エネルギーが少なくてすむ状態(低いエネルギーレベルの状態)でいるようになる。

次回は、陽子の集合についてもっと詳しく見ていきましょう。

よい1日を!

※「やさしいMRI」の参考文献は原文がインターネットに公開されており、誰でも閲覧可能なMRI made easy(…well almost)」です。
本ブログは、この原文を参考に記述しています。図も引用させていただいております。なお、原作の複製や販売を目的としたものではありません。

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